2017年11月26日 (日)

歌仙「初時雨」の巻

「初時雨」の巻
  捌き 姫野 恭子

表)

ヌエワシの飛びゆく方や初時雨    姫野恭子
 風切鎌の立つ屋根の上       東妙寺らん
あるときは名もなき少女の顔をして  山下整子
 一所懸命自転車をこぐ        八山呆夢
廃校は漆紅葉に彩られ         青翠えめ
 ほとんど見えぬ朔日(ついたち)の月  整子

裏)

畑荒らす猪の肉食べつくす    呆夢
 日毎夜毎夫婦漫才        らん
映画館いつもの場所に人集い  えめ
 出もの腫れもの恋は非正規  恭子
嘘ばかり言うて男が帰る先   整子
 金ぶん相手に駒を崩せり   呆夢
白き犬もう居ない庭露の月  澄たから
 賛辞を以て追悼となす       整子
アンカレッジ空港にある天麩羅屋  整子
 あさりはまぐり目を覚まします   恭子
美酒ふふみ微酔(ほろよい)笑まう花の下  えめ
 石鹸玉(しゃぼんだま)とおかっぱの娘(こ)と  らん

名残表)

ひばりの巣野菜の畝にまぎれおり  えめ
 カメラ片手に太陽を背に      ぼん
国産の三菱ロケット売られゆき   整子
 タックスフリーの店舗オープン   えめ
スクラム組む脊振颪の風の中   整子
 胸に息づく赤穂義士祭       らん
それぞれの歳月ながれ怨み消え  恭子
 きゅきゅっと鳴らし博多帯とく    らん
海辺からあなたの家まで歩きましょう  整子
 バス停の横芒ぎんいろ    呆夢
宮家にも定年ありて後の月   らん
 松茸飯の炊ける頃合     えめ

名残裏)

毬と菊 柩に納め猫の葬    らん
 パイプオルガン粛々となる  呆夢
六十の余力真白な日記帳   整子
 年の始まり客船の旅      えめ
花の枝置かれたる膳あしらいに  呆夢
 なごりの雪が退官を寿ぐ   恭子

平成29年11月23日
広川町古墳資料館にて

連衆(五十音順)
 青翠 えめ
 東妙寺らん
 八山 呆夢
 姫野 恭子
 山下 整子
 澄 たから(句のみ)

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2017年11月23日 (木)

歌仙「戦さあるな」の巻

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2017年11月5日、朝日新聞から。

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久々に顔を合わせた連衆のひとり、東妙寺らんが連句会の席上で見せてくれたのは、朝日新聞の切り抜きだった。
朝日歌壇そして俳壇の選者である八人が、六月下旬から九月中旬までの時間をかけて文音で巻かれた歌仙を紹介する記事だった。捌きの役目は俳人の長谷川櫂さんがなさったのだそうだ。

戦争への懸念を発句に込めた金子兜太さんの「戦さあるなと起きて花野を歩くなり」が、巻の表題となった。満尾した歌仙作品とともに、八氏の対談の要約も紹介されていて、興味はつきない。
対談の末尾に長谷川さんがおっしゃった。

「俳句も短歌も自分を詠めと言ってきたが、歌仙では別人になって詠む。歌仙では主体を入れ替えて読みことができる。主体の転換こそ詩歌すべての原点だと思います」
この言葉を記録してこの記事を終える。

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久々に歌仙

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2016年12月19日 (月)

久々に連句会。

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おんなばかりの連句会。
これはこれでGOODかも。

  大阿蘇のはるか裾野も冬景色/東妙寺らん
    傾く屋根に雪が積もれり/山下整子
  通信簿集中力を誉められて/青翠えめ
    運転免許は金色キープ/姫野恭子
  月光の高速バスに客まばら/八山呆夢

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2015年12月 1日 (火)

晩秋の座で巻く

晩秋の古墳公園は、まだ完全には色づいていなかった。
大銀杏の樹はまだ青さが残っていた。
そんな古墳資料館で、久しぶりの連句会が催された。
手はずを整えてくれたのは、らんちゃん。
わたしの短歌仲間、音彦氏の夫人でもある。

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久しぶりとあって、脳が連句モードになるのに時間がかかった。

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巻きあがった作品は、ここをご覧いただきたい。

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-9b8b.html

連衆のひとり、青翠エメさんが、明治時代のおばあさんのいでたちで登場して、思わす感嘆の声をあげてしまったわたし。

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二部仕立ての結城紬の上に羽織ってるのは、百年前の曾々祖父の綿入り羽織。
エメさんならではの着こなし。
(本人了解をいただいて、アップした)

いつの日か、連衆全員が着物姿で座を巻きたいものだ。

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2015年7月 6日 (月)

外は雨

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先週の土曜日、古墳資料館の一室で、歌仙を座で巻いた。
久々の連句会だった。
外は終日の雨。
古墳公園のみどりなす丘はしづかに濡れて、駐車場わきのニンジンボクの花の青さを際立たせていた。

やはり雨と木々は似合う。
そして古墳資料館と連句会も、なかなか似合うと思う。

巻きあがった歌仙を「かささぎの旗」から引かせていただいた。
ご賞味いただきたい。

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歌仙「雲雀の床」の巻

 

        姫野恭子・捌

田水引く七十年の水明り      姫野恭子
  汲場に下りて洗ふ苗箱     山下整子
英国のツリーハウスを見習うて  八山呆夢
  ラジオ体操ひとり続ける    東妙寺らん
畳替え済ませゆっくり濃染月   青翠えめ
  残る蛍の映る北窓         整子



秋刀魚焼く猫をよび寄せ遊びつゝ  らん
  韃靼蕎麦茶とアールグレイと   恭
カストロもゲバラも一流革命家    整子
  流し目だけで思想変はりぬ    呆夢
セレナーデ レコード盤に針を置き  えめ
  生産指数高めまぐはふ       整子
寒月の余すことなく照らす街      らん
  サンタクロースは落第坊主     えめ
お仕置きをすれば教職危ふくし    呆夢
  一票格差・合区容認        整子
あしたにはダム湖に沈む花ならむ   えめ
  雲雀の床に夕陽の欠片       らん

ナオ

銀笛のはろばろ届く涅槃西風    整子
  「来る来ない来る」占ひの日々   らん
言葉ではいへない W X Y     恭子
  あなた莫迦ねと動く指先      えめ
壁ドンにあこがれてゐた時もある   呆夢
  糊を効かせた藍湯帷子      らん
いっせいに子等のお囃子行行子   えめ
  閏一秒ブログ引越し         恭子
使ふあてないに等しき道具あり    呆夢
  ねごとはぎしりいびきにおなら   らん
月光を抱きしずもる蔬菜園       整子
  案山子に勧め酌み交はす酒    らん

ナウ

言ひ残すことはないかと鵙が訊く  整子
  形見の着物皆で分け合ひ    呆夢
朝刊に「長崎ばってん八女よーら」 えめ
 むらさき色の霞たなびく       らん
花筏土地の上手に棹まかせ     呆夢
  有明海に春の大潮         恭子

連衆

   青翠えめ(せいすいえめ)
   東妙寺らん(とうみょうじらん)
   八山呆夢(はちやまぼん)
   姫野恭子(ひめのきょうこ)
   山下整子(やましたせいこ)


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2013年11月19日 (火)

連句会のご案内

みやま市にある保健医療経営大学の学祭に便乗して、今年も連句興行を開催いたします。

 期 日 平成25年11月24日(日)
       午前9時半頃からスタートできる予定

 場 所 みやま市瀬高町高柳960-4
        保健医療経営大学
          ℡0944-67-7007

 連句とは何なのか、その歴史や成り立ち、式目、約束事など基本的なことが一目でわかる資料を、学長自ら手掛けていただき、当日ご来場くださったみなさまにお渡しいたします。

日常に追われて日々奮闘中の、ほら、そこのあなた。
非日常空間へどうぞお出かけください。
短時間のご参加でも構いません。
自由に出入りできるようになっています。
ぜひ、おでかけくださいませ。

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2012年5月16日 (水)

初夏の連句会 ご案内

古墳群が広がる八女丘陵にうっそうとしげる木々の緑。
「はつ夏」という言葉はこの緑陰のためにあるのだと思ってしまう。

そのみどりなす八女丘陵の一角で「初夏の連句会」を催します。

  期  日  2012年5月26日(土)午前9時半から
                         午後4時半まで
  場  所  広川町古墳資料館二階研修室にて
                ℡0942-54-1305

  参加費  千円程度

あわただしい日々を過ごすひとこそ、来たれ。
こころが折れそうになってるひとこそ、来たれ。
もちろん、こころ穏やかな順調な日々を過ごすひとも、来たれ。

中途参加、おおいにけっこう。
中途退席、これもおおいにけっこう。
あなたの時間のゆるす範囲でご参加ください。

はつ夏のひと日、いっしょにことばを拾いましょう。

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2011年11月22日 (火)

オン座六句「秋穫祭」の巻

先日の連句興行で、
「先生、これ、どこかで使っていただけませんか」と、
わたしが捌きに差し出した一句。

「かみなりがないてる 雨がふっている」
そーいちろーが以前つくった句である。

先生の温情で、自由律の夏の句として使ってくださった。
捌き一直で「雨」が「愛」になり、なんと恋句に生まれ変わった。

そーいちろー、七歳にして連句デビュー。
運のいいやつじゃ。

オン座六句「秋穫祭」の巻。↓

http://tokowotome.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-2e77.html

発句は、開催地への敬意をこめたあいさつ句。

  学生のこゑ満つる日の秋穫祭  山下 整子

「まあ、あいさつ句やからこれでええけど、俳句として鑑賞するなら、これはないな」という、捌きの酷評をいただきながらも、発句として採用してもらう。

関西弁の歌姫の変わらぬ愛のムチである。

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2011年11月20日 (日)

定型詩に自由がある発見

みやま市の保健医療経営大学で開催された「たかやな祭(大学祭)」と「まるごとみやま秋穫祭」、二日目の今日はお天気にも恵まれ大勢の来場者で賑わいました。

そんな大イベントの一画で、連句誌「れぎおん」の編集長である「前田圭衛子宗匠」をお迎えし、「亜の会」の「秋の連句興行」を行いました。

今回は、「オン座六句」という形式に初挑戦です。
これは一連六句を基礎単位としてやれるところまで連を形成していくもので、連句形式のなかでも比較的新しいものです。
横浜在住の連句人、浅沼 璞さんが創案された形式だそうで、時間的制約がある場合に区切りがつけやすいというメリットがあるのだとか。連句冊子で作品を見たことはあったのですが、実際にやるのは初めてで、始める前から、わくわくする気持ちを抑えられませんでした。

これまでの歌仙や胡蝶との大きな違いは、途中に「自由律の連を定める」ことと、伝統的な月・花・恋に加え「氷・石・ロックミュージックを読み込む」こと。

実際に体験して、これまでにないむつかしさと楽しさを味わいました。
それは「自由律」の部分です。
定型で詠むことにすっかり慣れてしまったわたしにとって、不定型で詠むという行為は「自由という不自由」を味わうものであり、これがもう、しんどい、しんどい。
でも同時に、その不自由さが楽しくもあったのです。

定型詩に自由はあるか。
わたしは長い間、定型は不自由だと思ってきました。
が、違うんですねえ、これが。
定型だから簡単に作句できるという自由さがあるのだという発見。
これが本日の連句興行のいちばんの収穫でありました。

神戸から遠路はるばるご指導においでくださった前田先生と、大イベントの一画でこのような貴重な体験をする機会をつくっていただいた学長にこころからお礼を申し上げます。

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