2018年6月19日 (火)

歌会結果

選者特選の部

水落 博選
みな逝きて一人となれる八十七歳古りたる家の廊下を拭けり/草野百合子

大我幸藏選
脚弱くなりたるわれを意識して坂くだりゆく生垣に沿ひ/市川 敦子

野田光介選
ねむれない真夜のまなうら針のないしろい時計が月のごとあり

市川敦子選
みな逝きて一人となれる八十七歳古りたる家の廊下を拭けり/草野百合子

長島洋子選
さうだねえ行けるとこまで行くとせう野遊びのごと言ひて鼓舞せり/近藤 和正

樋口洋子選
白梅の蕾ふくらむ一周忌われらそれぞれ一年(ひととせ)のとき/古賀 信之

互選の部

天 賞
さつきから何度呼んでも返事せぬ子は恐竜の本のなかです/山下 整子

地 賞
みな逝きて一人となれる八十七歳古りたる家の廊下を拭けり/草野百合子

人 賞
古今集の世より還りてあかねさす昼は島原素麺を食ぶ/平井さなえ

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2018やまなみ大会 IN 久留米

平成30年6月15・16日に開催されたやまなみ久留米大会。44人の出席者を得て、無事に終了いたしました。
出席してくださったすべてのかたに心から感謝いたします。

やまなみ賞受賞の上田貴代さん。
芥火賞受賞の前川志佳乃さん。
新人賞受賞の山下翔さん。
各賞受賞、まことにおめでとうございました。

なかでも、四国から初めて参加された90歳の前川さん。
遠方からのご出席、本当にありがとうございました。
お疲れになったことでしょう。

行き届かない面も多々ございましたが、広川うた会の面々、そして筑後歌会、下妻歌会のみなさまのご協力をいただき、大きなトラブルもなく終了することができました。ほんとうにお疲れ様でした。ありがとうございました。心からお礼を申し上げます。

 今日の一首。
  つくづくと短歌やつててよかつたと言ひしかの日の母をおもへり

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2018年6月13日 (水)

2018やまなみ久留米大会前夜の前夜

ようやく、やまなみ大会の前々日となりました。
明日は選者の先生方が久留米入りをなさいます。
いろいろと不手際も多く、先生方への文書が遅れましたこと、お詫び申し上げます。

昨日、ホテルでの最終打ち合わせを行いました。
運びこむ荷物の多さに閉口し、連れ合いに応援してもらって、必要な荷物の半分を持ち込みました。明日、選者会に合わせ、残りの荷物を搬入予定ですが、今度は音彦さんに手伝ってもらおうと考えています。三年前までは荷物の搬入なんて苦にもならなかったのに、やれやれ、年をとりつつありますねえ。

久留米大会にお越しのやまなみ会員のみなさま。
どうぞ、お気をつけておでかけください。
八女筑後会員一同、こころをこめて歓待させていただきます。楽しい時間が過ごせますように。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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2018年3月16日 (金)

祝 吉井勇大賞、玉井清弘賞受賞!

三月十日、高知県香美市の吉井勇記念会館で開催された「第15回吉井勇顕彰短歌大会」で、やまなみ短歌会会員である八女市黒木町の月足いつ子さんが、最優秀賞の「吉井勇大賞」を受賞、また、特別賞である「玉井清弘賞」を広川町の鹿田恵みさんが受賞されました。
同じ短歌仲間のひとりとして、こころよりお祝いを申し上げます。

◆吉井勇大賞受賞作品
  冬の陽に甍の波は照りかえり葺替職人かるがる渡る/福岡県八女市 月足いつ子

◆吉井勇賞受賞作品
  鏡のなかの涙をながすわが顔を消さうと洗ふ かほじゆうなみだ/福岡市 三吉 誠

◆玉井清弘賞受賞作品
  夫が急に大根の種を播くと言ふ姑の畑に姑(はは)の通りに/福岡県広川町 鹿田 恵

◆井上佳香賞
  蜜柑山今年の出来に胸弾み鋏もつ手がじんじんふるふ/高知県東洋町 蛭子 泰明

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左から、月足、鹿田、山下。

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記念館に掲示された今年度の受賞作品。

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授賞式終了後、ご講演なさった小島ゆかり先生。

・・・・・・・・・・・・・・

香美市の中でも奥深い山中の「猪野々」という地域に、吉井勇記念館はありました。途中、路肩が崩落しかけたような山道を延々と行った先の山渓にひっそりと建つ記念館。

同じ四国の香川勢を迷子にさせかけた猪野々の地。
猪野々の地域にお住まいの地元のみなさんの暖かさにもふれ、香美市の教育長からも喜びの声をいただき、長く心に残るであろう大会となったことをこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
猪野々のみなさま。
本当にお世話になりました。
ありがとうございました。

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2018年3月 3日 (土)

類句から類歌を考える。

40代後半のころ、数年間、某俳句結社に籍を置いていた。俳句はまったく物にはならなかったが、短歌との違いを体感出来て貴重な体験だったと思っている。とくに俳句(17文字)という短歌(31文字)よりも文字数の少ない世界での「類句への姿勢」を学ぶことができたことは何より有意義であった。

「俳句は17文字しかないから、よく似た句ができることが多いのは否めない。神戸大震災の折には某新聞の文芸欄に17文字中12文字が酷似した作品が数多く寄せられたというエピソードがあるほどだ」と主宰がおっしゃったことがある。

「意図せずして類句ができたとき、盗作と騒がれることもあるが、そんなときはどうするのか、それをきちんとわきまえておくことが必要」とおっしゃって、「もしも類句を自分が作ってしまったら、これは自分の作品だと主張するのでなく、後から公表したのもが潔く退くこと。それが俳句におけるルールだ」と教えていただいた。

今回、このことをこだまに寄稿することを思い立って、類句の対処というフレーズで検索したら、まさしく同じようなことが書かれたHPを見つけたのでここに紹介させていただくとともに一部を引用させていただこう。

(以下、「日本俳句研究会」(https://jphaiku.jp/how/ruiku.html)のHPから引用)

 

【類句を恐れない】

 俳句は17文字しかない短い文学であるため、偶然、似たような句や、まったく同じ同一句が生まれやすい傾向があります。このため、大会で賞を受賞した久我、偶然、過去にほかのコンクールで入選していたことがある場合があり、問題になることがあります。もちろんこの場合は受賞取り消しという措置がなされます。(中略)

 

松尾芭蕉は、類句について以下のように述べています。

他の句より、まづ、わが句にわが句、等類することをしらぬものなり。よく思ひわけて味ふべし。もし、わが句に障る他の句ある時は、必ずわが句を引くべし。

 

「自分の句が他人の句に似てしまうことより、実は自分が似たような句ばかり作っていることの方に気づかないものである。これを避けるためには、深く考えて、味わいながら句を作ることです。もし、類句をつくってしまったら、迷わず自分の句を捨てなさい」

現代語に訳すと、このような意味になります。

(ここまで、「日本俳句研究会HPから引用」)

 

ここに引用した内容は、まさしく主宰がおっしゃった通りのことだった。これらは俳句における教えではあるが、このまま、短歌の世界でも通用することではないだろうか。

自分が類歌を思わず知らずつくってしまったらどうするべきなのか。そのことを肝に銘じておけば、いたずらに類歌を恐れることはない。

自分のつくった作品が、後から似たような作品があるとわかったとき、自分の作品が後発のものだと明確であったとき、「これは自分の作品だ、オリジナルだ」と声高に主張するのでなく、潔く退けること。短詩系文学に身を置くものとして、わたしたちは似ていることを認める勇気、そして、取り下げる潔さを忘れないでいたい。

「類歌は、後発のものが取り下げる」

これからはこれが、短歌界での新しい「ルール」として定着することを願う。

 

 

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2018年3月 1日 (木)

合言葉は「播かぬ種は生えぬ」

わたしが所属する短歌結社は地方の小さな結社で、歴史はそれなりに古いものの、メジャーな歌人を輩出したわけでもなく、その名はあまり知られていない。
ならば、ひとりひとりがいろんな短歌大会に応募して、少しでも名を広めよう。
そんな広大な夢、ある意味、無謀な夢を持って、「播かぬ種は生えぬ大作戦」を呼びかけたところ、さっそく、実現してしまったひとがいる。

三月十日に高知県香美市で開催される「吉井勇顕彰記念短歌大会」で、最優秀賞である「吉井勇短歌大賞」を月足いつ子女史が受賞することとなった。また、特別賞の「玉井清弘賞」を、わたしが「姉御」と仰ぐ鹿田恵女史が受賞されることが判明した。
お二人に心から祝辞を申し上げたい。

やまなみ短歌会の仲間の快挙を現地で見守るべく、島原からナカムラエイコが、筑後からイシカワアイコが、香川からヤマジマリコとウジケナガコが、広川からヤマシタセイコが赴く予定。
授賞式の様子や受賞作品については、また後日、報告させていただきたいと思う。

水落先生、野田先生、長島先生、樋口先生がたのお喜びになる姿を思いながら、この記事を書く。

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2018年1月 8日 (月)

第42回芥火賞受賞作品

戦 中 戦 後 /前川志佳乃

 兵送り英霊迎えし村の駅いまは寂れし無人駅となる
 わが青春は戦争中にて父に代わり牛飼い鋤きにし乙女のわれが
 戦勝を祈りし産土の境内に文化財指定の親子獅子舞う
 征きしまま還らぬ君の自画像は誰見つめいむ若き遺影よ
 底ごもる招霊の声する慰霊祭顕ちくる御霊に瞑り祈りぬ
 畑を鋤き荷車曳きいし叔父の馬征きて帰らぬ「青」の幻
 農耕馬徴用されゆきたてがみを撫でて涙せし叔父を忘れず
 桜の花咲く下陰にひっそりと軍馬の碑あり雨に濡れおり
 兵たりし夫の命を繋ぎくれし凹める飯盒たいせつに保持す
 予告なく復員せし夫見しわれは夢かと思い幻かとも
 抑留を逃れ復員せし夫と六十年余を農に励みき
 生産者さえ米の供出強いられて「斗枡」に量られ見張られていし
 戦時中よりむしろ戦後は厳しかり食糧乏しく飢え凌ぎたり
 食糧難の時代乗り越え身に付きし節約意識今もわが持つ
 朝のドラマ戦中戦後の映像にわが青春を垣間見たりき
 田草取る人さえ襲いし艦載機のがれ生き来しわれらが世代
 愚痴言わずただ黙々と働きし舅にしたがい農の神髄学びき
 篤農家と呼ばれし舅も嘆きいむ米買うわれを如何に見たまう
 野良着のまま微睡む出作小屋へ祖母の作りしお握り運びき
 みどり濃きこの山越ゆれば若き日の記憶のままの古里あらむ

   ・・・・・・・・・・・やまなみ平成30年1月号から

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平成29年度やまなみ三賞決定

平成29年度やまなみ三賞が決まった。

やまなみ賞に、小郡の上田貴代さん。
芥火賞に高松の前川志佳乃さん。
新人賞には、福岡の山下翔さん。

高松の前川さんは、昭和三年生まれの八十九歳。
二度目の挑戦で受賞された。
高齢にもかかわらず挑戦されるその熱意が素晴らしいと思う。

三氏の作品を、今月号のやまなみから一首ずつ引く。

 行事ひとつ終へたる度の安堵なれ黄泉に近づく旅の道程/上田貴代

 異次元より迷い来しがに梟は翼広げて音なくとび立つ/前川志佳乃

 まとまつた金が入るといふことなし秋のほこりは吸つて息する/山下 翔

受賞されたみなさんに心からお祝いを申し上げたい。

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2017年10月27日 (金)

北欧のみづ

筑後市文化祭にわたしは、

 どしゃぶりの雨が見たいといふ君がコンビニで買ふ北欧のみづ

という作品を提出した。当初は、「どしゃぶりの雨が見たいといふ君がコンビニで買ふミネラルウォーター」だったが、後半に重なるカタカナ文字が気になったのと、結句を「ナントカの水」で終わらせたくて推敲した。

コンビニには様々な水が売られているが、最近、北欧の水は見かけない。しかしながら「北欧の水」というフレーズが醸し出す旅のイメージに惹かれて「北欧」を当てた。
この文言の斡旋が有効だったかどうかはわからないが、筑後市文化祭で選者のひとりを務められた野田先生が歌会の途中、「ああ、ぼくはこの歌を見逃していたなあ」とおっしゃったのを、この耳は漏らさず聞いたことを記録しておこう。

・・・・・・・・・・・・・

 野田光介選天賞
  短歌なんか止めよと言はれし人ありきわたしもなんかに関はるひとり  /筑後市  藤 トシ子

 々 地賞
  縄の角 藁の袴に黒塗りの少年盆綱餓鬼引き上ぐる  /筑後市  平 繁子

 々 人賞
  ツゲの木にヱビスビールがぶら下がり重りとなりて枝を整ふ  /小郡市  西尾 朋江

 樋口洋子選天賞
  器用なりし母のおゆびは曲がれどもゆっくり強くわが手を握る  /広川町 青木佳代子

 々 地賞
  かいじゅうにもウルトラマンにもなる三才児育てていこう闘いながら  /小郡市  井寺 郁恵

 々 人賞
  はなちゃんがオババ見つけて飛び出した夕方五時のさくら組から  /八女市黒木町  仁田原陽子

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2017年10月18日 (水)

ふくおか県民文化祭2017短歌大会 パート3

◆各選者秀逸及び入選作からランダムに抜粋。

黄の旗で頭撫でてと一年生小さき頭今朝も寄せくる/糸島市 山崎源太郎

もう少しこの世にいたい葉の陰に夏つばきただ真白く咲けり/八女郡  
姫野 洋子

そのときは来たりて今朝の裏山にクチナシの花一気に開く/八女郡 鹿田 恵

ごはんよと呼ばれて家に帰るがに同級生の古稀前に逝く/福岡市 小田原禮子

散歩道蜥蜴蛞蝓落ちた梅紫陽花枇杷の実入梅(ついり)のニュース/糟屋郡 宇野美登里

返信に無音を詫びてとりおきし桜の切手まっすぐに貼る/八女市 樋口 洋子

れんげ草・つばな・羊蹄(ぎしぎし)・母子草散歩の道は夏への序曲/うきは市 喜入シゲ子

それぞれに「筍見つけた」とはしゃぐ孫等爺は一人だしばし待て待て/八女市 栗原 正嗣

口悪き夫の秘めたる優しさをやうやく知りて金婚迎ふ/小郡市 西尾 朋江

図書館の返却ポストが閉ぢられて迷子になるしかない詩歌(うた)の本/八女郡 山下 整子

海底に揺れゐるやうな形して日高昆布の送られて来る/八女市 馬場美智子

まるでまるで親指姫のバスタブのやうに華麗なカラーの花束/小郡市 中島 倶子

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