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2014年5月31日 (土)

山下整子作品抄

酸味強き真冬の林檎をかじるとき想ひは杳き父へつながる

ひそやかに短歌コールと名づけたり母からの電話は常に短歌が話題
子のへやにあふれしされど見えぬものと闘つてゐる母なるわれは
ひたぶるに仕事に向かう週末の忘れ物がなにか思ひ出せない
明確な意思の表示は避けておくきれいごとが並む会議の末席
ふりかかる火の粉払はねばなりませぬプロレタリアのやさしき拳
休日は独りで過ごすへつらひも安易な同調にも拘はりのなく
自己主張少なき子なればその声を聴かざりしまま母われは来し
母であるさみしさはかういふことか子らの船出は始まつたばかり
夏木々はだまつて愚痴を聴いてゐる見上ぐる空に光はあふれ
さみしさを前面に出しわが母はこの秋さらに老い深めたり
みたり子を農ひとすぢに育て来し母のいびつな背なをかなしむ
無欲では生きていけぬとみづからの欲を赦して秋のまぶしさ
われの名をひらがなで呼ぶ君のこゑ水紋のやうにしづかに届く
風充ちてひかりは充ちて風充ちて春のひと日を夫によりそふ
                    (以上15首自選)
     ・・・・・・・・・・・・・・・・やまなみ2014年6月号から

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やまなみ短歌」カテゴリの記事

コメント

若い頃の山下整子作品に、初めて触れました。
そっかあ、と感慨しきりです。
「やまなみ」6月号、じっくり読ませていただきます。

投稿: てぃー | 2014年6月 2日 (月) 15時19分

ひさしぶりできました。

母おわす歌であることが、むねをうちます。

投稿: ひめの | 2014年6月 6日 (金) 01時16分

てぃーさん。
お届け物、ありがとうございました。
折句、いま流行りなのかな?
先日の読売新聞のコラム欄で、谷川俊太郎さんが詠んだというW杯カップの折句を目にしたばかりでした。

海港もこれからじっくり読ませていただきます。
ありがとう。

投稿: seiko | 2014年6月 6日 (金) 22時15分

ひめ、ありがとう。元気してる?

20年のあいだの膨大な作品から、15首を選ぶの、けっこう迷った。
単に時系列でいいかもと思ったけど、半歌仙もどきにしたててみました。
連句やっててよかったと思うのはこんなときだね。笑

投稿: seiko | 2014年6月 6日 (金) 22時20分

いたらない届け物で失礼しました。(汗)

流行りかどうかはわかりませんが、
「海港」にも折句についての小論が載ってるから
もしかしたら、そうなのかも、です。

投稿: てぃー | 2014年6月 6日 (金) 22時50分

折句、ここでアップさせてね。
よろしく。

投稿: seiko | 2014年6月 7日 (土) 12時44分

せいこさんへ

かささぎの旗からのお祝いです。
ほれ、六十年前の六月号のやまなみ☟。

投稿: かささぎの旗 | 2014年6月29日 (日) 21時46分

追伸

本は持ち出し禁止だったので、その場でよみ、メモをとっただけです。
ほかの月のもていねいに読めば、なにかわかったかもしれませんね。
ただ知りたい一心。
ところで、主宰の菊池剣は歌をあんまりよまれていない。
藤を見た日も、主宰のはありませんでした。
ふしぎな気がします。
やまなみは昭和十年に北九州で生まれた、というのも意外でした。
最初から黒木だったのではないんだね。
それは他誌のやまなみ紹介の転載文が載っていて、それに書かれていました。
続きは、せいこさんがしらべてきてくれない?
わたしはまったく暇がない。
なにが知りたいって、いま話題の柳原白蓮が昭和29年五月に黒木の藤を見に来て、そのときに詠んだ歌が一つのこっていること。
歌碑になっていること。その歌には黒木物語の入水伝説が、どうも
逆に捉えられて詠まれていること。(ほんとは黒木すけよしの妻が入水して死んだのに、みやこから来た小侍従が死んだようなよみぶりになっているように思える)
一首だけしかよまなかったのか。
婦人会には歌人はだれもいなかったのか。
やまなみ短歌会の黒木メンバーは知らなかったのか。
それ、しりたいです。六十年もまえのことですけどね。

この日、羽犬塚いったりあちこちいくついでに図書館に立ち寄り20分ほどいましたか。
そのあいだに駐車違反のステッカーを貼られました。くそう。日曜もよか仕事されていますねえ、けいさつは。

投稿: かささぎの旗 | 2014年7月 2日 (水) 07時53分

60年前のことですよね?
どなたかご存知の方が健在でしょうかねえ・・・・。
合併前の文化財専門委員さんで、長く黒木町の文化連盟会長をなさってた吉村氏なら、ひょっとしたら覚えておいでかもしれません。菊池剣の碑前祭を積極的に推進してくださった方です。わたしも現職時代にお世話になりましたが、あの頃すでに八十を超えておられました。ご存命であったとしても、もう90代になってらっしゃるはず。ご存命でありましょうか?
忘れなければ、ご存命かどうかだけでも、やまなみ大会でご一緒する黒木町の仲間に聴いてみましょう。

菊池剣にかかわるもろもろの書籍が八女市図書館の閉架庫に眠っています。ご自身が出版された歌集もあったような記憶が・・・・。秦美穂先生の歌集は間違いなくありました。年代を感じさせないおしゃれな装丁だったので、鮮やかに記憶しています。

投稿: seiko | 2014年7月 3日 (木) 09時37分

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